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穂村弘「はじめての短歌」

めちゃくちゃ面白い本を読んでしまった。

穂村弘 「初めての短歌」(河出文庫)



最近短歌にも興味を持つようになりまして。
というのは,結構詩歌の雑誌とかって,短歌も一緒になってくるんだよね。

で,短歌なんてあはれなもの私とは縁がないわ。
って思っていたけれど,この穂村弘さんという人の作る短歌は
今までのイメージとだいぶちがった。。。
新しい時代の短歌,という気がする。

短歌と言えば誰もが知っている俵万智さん。
「サラダ記念日」は教科書にも載っていてあまりに有名。
みずみずしくて透明感のある素敵な短歌。

穂村弘さんも今や日本の短歌界を牽引するスーパースターなのだけれど,
また俵万智さんとは違う流れというか
「教科書向き」な感じじゃないんだけど笑,サバイバル感,生きている感がある。


この本には,穂村さんご自身が作られた短歌は掲載されていないけれど
穂村さんの考え方はよく伝わってくる。
「生きのびる」ためではなく,「生きる」ための言葉,それが短歌。

巻末の山田航さんの解説に,「これはビジネス書だ」って書いてあるけど
本当にそうだと思う。
「短歌は役に立つ」。そう思う。(詩はそんなふうに思わなかったんだけどw)

ちょっと前に読んだ,平田俊子さんの「詩、ってなに?」というムックの企画で,
詩人じゃないいろんな人に詩をつくってくれっていう手紙を送るっていうのがあったんだけど
その後平田さんがご自身のTwitterで,
「政治家の心に詩があればこの国はもう少しよくなるのではないだろうか」
ということをつぶやいておられて,ほんとうにそうかもしれないなあって思った。


前回の記事と内容が重複するけど,
私もほんの1年くらい前まで,詩とか短歌とかに全く無縁の生活を送っていて,
ビジネスとか社会とか効率とかそういうものに一番価値を置いてた。
成果ももちろんそれなりに出して来た。
自分で言うけど笑,人からすごいね,さすがだね,って言われるような人間。

今もそれは大切なことだと思うけれど,徹底的な無駄の排除じゃなくて
生きる力も大事だと思う。「生きのびる」ためじゃなくてね。
両方あったらいちばんいい。片方だけ秀でているのも素敵なことだ。

今までビジネスのメガネで見ていた世界を,詩歌のメガネで眺めると,
新しい発見がいろいろあって楽しい。
これからは会社のクソみたいなできごとを短歌にしちまおうかと思う。笑


で,この本を読んで,私も短歌作りたいと思いました。

短歌なんてね。作れないだろうと思うだろうけどやってみる前に否定するのは悪い癖だ。
だからやるよ。とりあえず。

ふだん全然詩を作らない人に「詩,作ってみて」って言ってみんなが作ったら
どんなに楽しいだろうと思う。
評価を求める作品ではなくて,楽しみ味わうための創作。
それが人間として「生きる」ことにつながるんじゃなかろうか。

世界がどんなに変わっても,人の言葉には心を動かす力がある。
そんなことを感じたのであった。


余談だけど,この本のカバーデザイン,寄藤文平さんなのね。
寄藤さんと言えば,私の好きな「元素生活」や「ウンココロ」の人。
寄藤さんってこういうデザインもされてるんだなあ。。。
勤行集みたいなデザインだ。。。(いや,短歌集風のデザインなのか・・・)
良いと思います。


とても良い本からのスタートでした。

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2016年に読んだ本をまとめる

まとめられるかわからないが。絶対にこぼしていると思う。

とりあえず,ここで言う「読んだ」は,通読したということに限定する。
他にも全部読んでなくて部分的に読んだ本とか,雑誌とかはいろいろ読んでます~

1月
木田元「ハイデガーの思想」
鷲田清一「じぶん・この不思議な存在」

2月
石井ゆかり「3年間の星占い」
トーベ・ヤンソン「ムーミンパパ海へ行く」
トーベ・ヤンソン「ムーミン谷へようこそ」
「美術手帳 トーベ・ヤンソン」

3月
茨城のり子「詩のこころを読む」
寄藤文平「元素生活」
トーベ・ヤンソン「ムーミン谷の11月」
「ポケット詩集」
鷲田清一「哲学個人授業」

4月
石垣りん「表札など―石垣りん詩集」
伊藤比呂美「伊藤比呂美詩集」
伊藤比呂美「伊藤比呂美の万事OK」
伊藤比呂美「ラヴソング」
伊藤比呂美「とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起」
伊藤比呂美「閉経期」
伊藤比呂美「女の一生」
最果タヒ「夜空はいつでも再高密度の青色だ」
トーベ・ヤンソン「大きな洪水と小さなトロール」
松岡修造「本気になればすべてが変わる」

5月
伊藤比呂美「犬心」
伊藤比呂美「父の生きる」
小池龍之介「考えない練習」
「100分de名著 サルトル 実存主義とは何か」

6月
暁方ミセイ「宇宙船とベイビー」
三角みづ紀「夜の分布図」

7月
最果タヒ「少女ABCDEFGHIJKLMMN」

8月
石井ゆかり「星占いマルジナリア」
京極夏彦「遠野物語remix」

9月
「マンガでわかるニーチェ」
三角みづ紀「よいひかり」

10月
小池昌代「通勤電車でよむ詩集」
平田俊子「詩、ってなに?」

11月
最果タヒ「きみの言い訳は最高の芸術」
まど・みちお「人生処方詩集」

12月
ジブリロマンアルバム「未来少年コナン」
hippo「心に太陽を くちびるに詩を」
吉川卓治「『子ども銀行』の社会史」


とりあえず記録があったのはこれだけ。
意外に少なかった。。。

言い訳だけど(誰も求めてない)大学がある時期は
あまり文芸書が読めない(研究書を読むのと英訳で時間がとられる)のと,
通勤時間にラジ英を初めてからはちょっと読書の時間が減ってしまった。

あと詩集はなかなか通読できない。できないというかしない。
連続してダーーーって読むより,その時の心情に合ったものを
拾い読みしてる。ので,中原中也とか,谷川俊太郎,吉野弘とかの詩集も
ダラダラ読んでいるよ。


来年は大学をしばらくお休みして,生活に集中する(?)ので,
もう少し本が読めたらいいなあ。

読書ノートもしばらくつけてない。。。
2015年は哲学本を一生懸命読んでいたので読書ノートも付けていたけど
気軽な気持ちで文芸書を読むようになってからはつけてない。。。(;´・ω・)
文芸書だって面白いこといっぱい書いてあるのにね。
ノート・手帳大好き人間なので2017年はもう少し活用できたらいいなと思う。


ちなみに,上記の本の中で,今年のベストを選ぼうと思ったんだけど・・・

・・・選べなかった。
よく言えばどれもよかった。悪く言えばこれだーー!って思う本がなかったのかも。

来年もがんばります。

最果タヒ「きみの言い訳は最高の芸術」

読みました。


152ページ,1300円(税別)。

人のエッセイなんて買ったの,いったいいつぶりだろう。
「syunkon カフェ雑記」がエッセイになるなら,それぶりだ。
それより前にエッセイを買った記憶はない。

発売日に,本屋さんを回ってゲットしていました。
最近は発売日に本を手に入れる,というイベントがひとつのエンターテイメントになっていて,
これも2店舗くらい回って,手に入れました。
名古屋は遅いんです。雑誌とかコミックとかなら必ず新刊はあるのに,
文芸本とかは大きめの本屋しか置いてない。
けど平日に名駅の三省堂みたいな大きいところに行く余裕はないから
会社が終わってから自転車を漕いで本屋をはしごする。
だから達成感がすごいんです。って,なんの話や。

発売日にはしごして手に入れると,もうそれだけで満足しちゃって,
結局読むのは結構後っていうね。

本の話に戻るけど
結局タヒさんが書くと小説もエッセイもどれも詩だ。
細かく見ていけばもちろん違いはあるんだけどざっくり言って詩みたいなものだ。

本人は,自分は最果タヒというコンテンツを作ってる,って
自分に対して距離を取っているように書いているけど
書かれていることは最果タヒの中に近いことば・・・というか
最果タヒが肉弾として迫ってくるような感じ。
そして読んでいると,なんだろう,ひさしぶりに不安定な感じになりましたね。
エッセイって安心して読めるもの多いじゃないですか。さくらももことか。笑
安全・安心みたいな。

でも,最果タヒのエッセイはどこまでも突き放されるし,どこまでも身勝手だし(いい意味で),
どこに飛んでくるかわからない不安定さがあるというか。
そこが心地よいとも言える。
読後感は・・・そうだな,なんかぼんやりする感じ。(笑)
よかった!面白かった!というわけではなく,つまらなかった!というわけでもなく
年が近いのもあるのか,いまこの時代をいっしょうけんめい生きている私ってかわいい。って思う感じかな。(笑)

一つひとつのテーマについて感じる気持ちを,
無視するでもなく,執着するでもなく,距離を置いて眺める,
みたいなところかさすが詩人って思います。
私もそういえばこういう気持ち感じたことあったけど言語化したことなかったわ。
ってハッとしたりする。

まあそんなところでした。
友達はいらないって書いてあるけど私は彼女と友達になりたいよ。
1年に1回連絡するくらいの関係性で。

最果タヒ「少女ABCDEFGHIJKLMN」

東京に行ったときに
神保町の三省堂でゲットしてきた
最果タヒの「少女ABCDEFGHIJKLMN」を読みました!感想をば。

■書籍情報
最果タヒ「少女ABCDEFGHIJKLMN」(河出書房新社)
価格:1500円+税
ページ:224P
内容:「きみは透明性」「わたしたちは永遠の裸」
「宇宙以前」「きみ、孤独は孤独は孤独」の4編の小説を収録。

■装丁について
最果さんの本はいつもツボ。
今回この表紙・中扉のイラストは寺本愛さんという方が描いているそう。
目がとても印象的なイラストだね。
全体がピンクでまとめられているから青がとてもよく効いている。

難点を言うならば,この本の表紙の厚紙は
本の中身よりも上下各2.5㎜程度長く(合計で5㎜程度),
中身はその紙の中央に張り付けられてあるので
下のはみ出た部分がつぶれやすいこと。この説明で伝わった?w
本のジャストサイズだったら表紙がつぶれることを気にしなくて済んだのにな~(´・ω・`)
とっても可愛い表紙だからもったいない。

■内容
私は,「わたしたちは永遠の裸」「きみ、孤独は孤独は孤独」の2編がとてもよかった。

詩人が書いているからとても詩のような小説だった。
特に,「きみは透明性」はとても詩のようだった。

上に挙げた2編は,逆にストーリー性が高くてどちらかというと小説だった。
SFのようにも読めた。きっと詩を読みなれていない人にも,とっつきやすいと思う。

物語の内容は,若い女性からの支持を得そうだと思った。
でも,私くらいのアラサーでも,
記憶の中でホコリをかぶってセピア色に変色した「あの頃」を思い出しながら
きっと,読めるんじゃないかと思う。
最果さんも,最果さんの「あの頃」を思い出して書いてるんじゃないかな。
誰もが持っている「あの頃」を呼び覚まして,タイムスリップさせる,
そんな小説だった。

ふだん,私がこういう小説を読まないから特にそう思ったのかもしれない。
(私が読むような小説は自分の記憶を呼び覚ますものではない。)

切なくて,読んだら少し泣きたくなった。
誰もが持っている「あの頃」の,
「あの感情」を呼び覚まされたからかもしれない。

全体的に,よかったと思います。
(「宇宙以前」は物語に入り込みづらく,少し中だるみしてしまったけど
 それを差し引いても。)
読了後の気持ちは読んでよかったな,と。

ぜんぜん,方向性は違うんだけど,
なんとなく私の好きな安部公房と同じような空気感を覚えた。
どこがかというと,「無時代・無国籍」な感じかな。

買ったときは,若者向けな感じがしてすこし気恥ずかしかったけど
タヒさんとは年代が近いので
根底に流れるものは近いのかもしれない。なんてね。

興味がある方はぜひ。
あいにく私の本は貸せないのですが!(笑)

小池龍之介「考えない練習」

最近読んだ本。kindleで買った。

小池龍之介「考えない練習」



東大出身のお坊さんが書いてる本。
この人著作いっぱいあって有名だよね~

数年前にアイデンティティ・クライシスがあったときに
病んでた先輩からこの人が書いた「平常心のレッスン」っていう本を借りたことがあって。
今回またアイデンティティ・クライシスがあったので
手にとりたくなってしまいました。笑

仏教の思想に基づいて,いろんなイライラや不安に左右されないような
精神状態をつくるためのコツが書いてあります。
イライラしてる自分を,「あ,イライラしてるな」って客観的に見たり,
ご飯を食べるときにどう五感を使うか,SNSとはどう付き合うか…
とかいった実践的な内容が多いです。

考えない「練習」とタイトルにあるように,やっぱりあれやこれやと
考えすぎないためには,練習が必要なんだな…というのがわかりました。笑

この本の言明について,科学的な根拠は「?」かもしれんけど
宗教はいろいろな人間の快や苦を見つめてきた集合知みたいなところあるから,
私は「ふむふむなるほど」って読めた。
それでうまく生きられるならいいのではないかーという感じ。

amazonレビュー見ると,読みにくい!って声も結構見られたけど
私は平気だったかな…まあ読みやすくはないが。

あと,最後の章で池谷裕二さんっていう脳研究者の人と小池さんが対談してるんだけど
そこで一番「何いーーーー!?」って思うことがあった。
松岡修造の「苦しいときほど笑ってごらん」は本当だったんだ…!って思いましたね。笑


それはそうと,この本について一番気になったことがあるんだけど・・・・

「気持ち良いッ」
「自分の話を聞いてほしいよォォォーーーッ」
とか,突然しゃべり方がジョジョ風になる……。

またジョジョ出てきたッ!!!!
って思いながら読んでました。笑
小池さんジョジョ世代なのかな…。